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【連続コラム】輸入木質ペレットの持続可能性は認証で確認できるのか?~⑩真の気候変動対策と生物多様性保全に向けて

SBP認証取得済みのドラックス社ペレット工場に山積みされた丸太(カナダBC州) © Len Vanderstar
SBP認証取得済みのドラックス社ペレット工場に山積みされた丸太(カナダBC州) © Len Vanderstar

本コラムは、バイオマス燃料の認証制度を批判的に検証したレポート『持続可能なバイオマスプログラム:持続不可能なものを認証する』「パート3 結論と提言」「3.3. 政策提言」からの抜粋・転載したものです。

【この記事の内容】

SBP認証が覆い隠す、「生物多様性」と「気候」への悪影響

提言:気候と生物多様性を保護するために

SBPシステムは、現在の形では信頼できる持続可能性基準になっておらず、むしろグリーンウォッシュの仕組みとして機能していることが多い。

その基盤はFSCやPEFCの管理木材規格といったリスク評価の枠組みに基づいているが、これらは最も悪質な林業慣行を排除することを目指しているに過ぎず、持続可能な森林管理(SFM)を保証するものではない。このような最低限の基準を完全な認証と同等に扱うことで、SBPは持続可能性の基準を事実上引き下げ、責任ある林業とは何かを規制当局や市場、一般市民に誤って伝えている。

表示が「加工残渣」となっていようが「木質廃棄物」となっていようが、かなりの割合のSBP認証バイオマスの原料を原生林に遡ることができる。バイオマスを原生林から収穫すれば、生物多様性の喪失、生態系の劣化、長期的な炭素負債に直接つながる。

その一方で、SBPの炭素排出量の取り扱いは不適切である。バイオマスを燃焼すると直ちに炭素が排出される点が見逃され、森林の再生によって排出量がすぐに相殺されると想定されているのだ。

こうしてバイオマスが気候に及ぼす真の影響が覆い隠され、バイオマスがカーボンニュートラルなエネルギー源だという誤った認識が固定化される。

SBPのアプローチは原生林や老齢林の産業伐採の継続を可能にし、奨励するものであり、気候と生物多様性の両方の目標を損なっている。これにより、世界に残る原生林の炭素吸収源から純排出源への転換を加速させるリスクがある。これは、気候危機を不可逆的に悪化させうる転換点となる。

持続可能性と気候の面で確かな成果を上げられるように国際的なバイオマス政策を調整するため、本報告書では以下の行動を提言する:

政府:森林バイオマスを認めない

  • 大規模のバイオマスは高炭素で低効率の燃料だという実態を認識すること。木材の燃焼は化石燃料よりもエネルギー単位あたりのCO2排出量が多く、森林の再生によってこの炭素負債を返済するには数十年から数世紀を要する可能性があり、気候目標の達成に必要な期限をはるかに超えている。
  • 燃焼による排出量を国家温室効果ガス(GHG)インベントリに含めること。この排出量を炭素会計から除外することは科学的に欠陥があり、バイオマスエネルギーが気候に及ぼす真の影響を覆い隠す。

政府:天然林を保護する

  • 原生林や原生林景観(IFL)からの木材調達を禁止すること。原生林は炭素と生物多様性のかけがえのない宝庫であり、これを伐採することは、気候や生物多様性に関する世界的目標の達成を危うくする。
  • 気候緩和戦略を、木質バイオマスを活用したバイオエコノミーから脱却させること。代わりに、国際的な生物多様性目標に整合するよう、2030年までに森林減少と森林劣化を阻止し回復させることに重点を置く。

政府:補助金と貿易政策を改革する

  • 森林バイオマスへの補助金を廃止し、グリーンファイナンスの基準から除外すること。真にクリーンなエネルギーソリューションに振り向けるべき資金を奪い市場を歪めている公的インセンティブが、バイオマス産業を支えている。
  • すべての国際木材取引において人権と環境に関するデュー・ディリジェンスを義務付けること。SBPのような自主的認証制度は、社会的・生態学的被害を防ぐには不十分である。

森林認証制度:基準を強化する

  • FSC制度とPEFC制度を改革し、完全な認証の代わりとしての管理木材の悪用やリスクベース評価の誤用を防ぐこと。これらの仕組みは、持続不可能なバイオマスサプライチェーンのグリーンウォッシュに悪用されている。
  • 現在の大規模なバイオマス利用における木質ペレットの認証を中止すること。現在の速度でバイオマスエネルギーを拡大することは、森林の十全性の保護と両立しないことを認識する。ミックスラベル製品への広範な依存は、森林認証システムの信頼性と使命を損なっている。


カナダBC州でペレット工場への供給のために2021年、2023年、2024年に伐採された原生林。(c)Michelle Connolly

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