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【連続コラム】輸入木質ペレットの持続可能性は認証で確認できるのか?~⑧SBPに対するNGOの批判

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本コラムは、バイオマス燃料の認証制度を批判的に検証したレポート『持続可能なバイオマスプログラム:持続不可能なものを認証する』「1.5.3. 市民団体は再三にわたりSBP基準を批判してきた」からの転載です。

SBPは先住民族の権利への対応が不十分である。協議の必要性は認めているものの、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」が得られていない場合でも認証を進め、先住民族の権利を事実上無視している。(『持続可能なバイオマスプログラム:持続不可能なものを認証する』「エグゼクティブ・サマリー」より)

【この記事の内容】

市民団体・NGOによるSBPの評価

「事務手続き」に依存した認証が抱える構造的限界

公的補助金の根拠としての妥当性

SBPについては、特に2013年に導入された第一版(基準バージョン1.0)に関して、複数の市民団体が詳細な評価を実施している。2023年に更新された基準バージョン2.0にはいくつかの手順上の変更があるが、過去の評価で特定された構造上の欠点の多くは、今も変わらずあてはまる。

2017年、米国を拠点とする自然資源防衛協議会(NRDC)とドッグウッド・アライアンスは、SBPの持続可能性に関する保証が独立機関による確かな現場検証ではなく、書類とバイオマス生産者自身のデュー・ディリジェンスに大きく依存していることを明らかにした。SBPは、直接的に森林管理を認証せず、代わりに地域リスク評価(RRA)やサプライベース評価(SBE)によってバイオマスのサプライチェーンを評価するものであり、効果的な軽減措置を伴うものではなかった。

これらの点はすべて、本報告書でも指摘している重要な問題である。2017年の報告書は、SBPの認証制度は結局のところ「操業の認可」であり、持続可能な調達も気候面での健全性も真に保証するものではないと結論づけている[1]。

英国を拠点とするバイオフューエル・ウォッチが主導して2023年に作成した報告では、オランダの再生可能エネルギー補助金制度(SDE++)においてSBPを利用する妥当性について評価した。この分析で特に批判されたのは、SBPが森林施業に関する独立した検査を求めず、監査・監視の責任をバイオマス生産者および生産者が選定した認証機関(CB)に委任する点である。

例えば同報告によるとSBPは、ペレット製造業者のエンビバ社による米国南東部の広葉樹林での伐採は正当であるとの主張について、生物多様性や炭素に対する影響について独立した調査を行わずに同社の主張を認めた。SBP制度の炭素に関する要件は「事務手続き」であり、GHGへの影響や森林の炭素損失の機会費用に関する真の評価を伴わないと、同報告は評している。そして、SBPはEUの持続可能性基準および排出基準をはるかに下回るものであり、公的補助金を与える根拠として不適切だと結論づけている[2]。

2024年、EUを拠点とするNGOファーンがEU再生可能エネルギー指令下のバイオマス認証制度について包括的な調査報告書を発表し、その中でSBPが「マスバランス」方式を採用している点を取り上げた。

マスバランス方式では、設備またはサプライチェーン内で認証バイオマスと非認証バイオマスを混在させることが許されるため、透明性が損なわれ、実際の森林への影響を追跡しにくくなる。この報告書も、SBPが「高い保護価値」(HCV)地域について現場レベルの検証も保護も義務づけず、大まかな地域ベースのリスク項目を適用している点を強調している。

さらにSBPが、先住民族の権利保護や天然林の転換禁止について法的枠組みが十分に機能していない地域からの調達を認めている点にも言及している。ファーンは、SBP認証にはバイオマスに関する持続不可能な慣行を合法と認め、EUの気候計画や生物多様性計画の効果を弱めるリスクがあると指摘する[3]。

市民社会によるSBP批判が高まる中で、サプライチェーンの持続可能性向上に取り組むNGOアースワーム・ファウンデーション(EF)は、2023年、調達戦略に関する懸念を理由として、SBP認証を受けたバイオマス生産業者であるドラックス社の会員資格を一時停止した[4]。EFはFSCの管理木材の枠組みに類似するリスクベースの手法を適用し、問題のある調達について加盟団体の監視を行うが、ドラックス社の慣行はEFの方針に合わないと見なしたのだ。

この結果、バイオマスを利用する英国の大手電気事業者でありSBPの設立理事でもあるドラックス社は、EF加盟団体ではこれまでにわずか2つしか例のない一時停止処分の1つとなった。

[1]NRDC & Dogwood Alliance. (2017). The Sustainable Biomass Program: A smokescreen for forest destruction and corporate non-accountability. https://www.nrdc.org/resources/sustainable-biomass-program-smokescreen-forest-destruction-and-corporate-non
[2]Biofuelwatch, et al. (2023). Sustainable Biomass Program: Certifying paperwork without looking at the forest. https://www.biofuelwatch.org.uk/2023/sbp-report/
[3]Counsell, S. (2024). Mass imbalance: Why certification of EU’s biomass energy supplies under the Renewable Energy Directive is failing to protect forests. Fern. https://www.fern.org/publications-insight/mass-imbalance/
[4]EF. (2023). Suspension of Drax Group’s Earthworm membership. https://earthworm.org/pages/suspension-of-drax-groups-earthworm-membership-2023

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