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【連続コラム】輸入木質ペレットの持続可能性は認証で確認できるのか?~⑦SBPの先住民の権利への対応は不十分

SBP認証取得済みのドラックス社ペレット工場に山積みされた丸太(カナダBC州) © Len Vanderstar
SBP認証取得済みのドラックス社ペレット工場に山積みされた丸太(カナダBC州) © Len Vanderstar

本コラムは、バイオマス燃料の認証制度を批判的に検証したレポート『持続可能なバイオマスプログラム:持続不可能なものを認証する』「1.3.3. SBP基準1は環境や社会の持続可能性を保証できていない」「2.1.3 SBPの軽減措置はFSCよりも緩い」からの転載です。

SBPは先住民族の権利への対応が不十分である。協議の必要性は認めているものの、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」が得られていない場合でも認証を進め、先住民族の権利を事実上無視している。(『持続可能なバイオマスプログラム:持続不可能なものを認証する』「エグゼクティブ・サマリー」より)

【この記事の内容】

FPICが形だけになる理由

先住民族の権利は保護されているのか?

「1.3.3. SBP基準1は環境や社会の持続可能性を保証できていない」より

「SBP原則4:原料調達は人々と地域社会に利益をもたらす」

(SBP「基準1:原料の適合性」の内の)この原則は、労働者の権利と地域社会の福祉などの基本的保護について規定されており、結社の自由、強制労働・児童労働からの保護、最低賃金の権利、安全な労働条件、苦情処理手続きなどの国際的規範を参照している。また、先住民族の「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)」の権利についても言及している。

しかし、ここでもSBPの基準はFSCに劣っている。FSCの原則と基準(P&C)および管理木材の規格は、労働保護を実施するためのより詳細な指針を提示しており、この指針は多くの場合、国内規格に組み込まれている。一方、SBPはFSC原則2、3、4の要素を一つの一般的な原則に統合しており、特に先住民族の権利に関して、運用上の明確さを欠く緩いアプローチとなっている。

例えば、FPICはSBPではたった1つの指標でしか扱われておらず、明確な同意が得られなくても、何らかの形で協議や調整が行われていれば操業を継続できるとされている。これはFPICを事実上任意のものとし、先住民族が産業活動の可否や自らの土地への影響について決定する基本的な権利を損なうものである。

こうしたアプローチでは、持続可能な森林管理(SFM)の要件を満たしていると信憑性をもって見なすことはできない。

「2.1.3 SBPの軽減措置はFSCよりも緩い」より

先住民族の権利と協議

SBPの監査報告書によると、ペレット製造各社はリスク評価に際して先住民族のコミュニティの参画を得る場合が多く、先住民族が所有するサプライヤーから調達をしている例もある。

しかしこのエンゲージメントは、自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)の基準を満たすものではない。むしろSBPは、州および連邦政府の既存の協議プロトコルに従っている。これらのプロトコルは多くの場合、通知のみを義務づけ、同意を必須としない。

例えばプリンストンのペレット工場(BC州)の監査報告書には、同工場が割譲されていないファーストネーションの土地から調達していると記されている。軽減措置は、同州の「考古学機会発見手続(Archaeological Chance Find Procedure)」を利用し、森林伐採権保持者の管理計画にある協議記録頼みであり、事実上、第三者による検証なしに、先住民族とのエンゲージメントを他者に任せている。

この手法は、土地に関する権利の申し立ての大部分が未解決のままであり、ファーストネーションの対応能力が限られているBC州では特に問題がある。

地域社会には政府や産業からの協議依頼が殺到しがちであり、有意義な対応ができる能力の限界を越える。こうした状況下で回答がないのは、同意ではなく、協議疲れや戦略的な沈黙を意味する場合がある。しかしSBPはこれらの結果を区別せず、沈黙や手続き上の遵守で十分であるとしている。

対照的に、FSCの中核的な認証規格は、十分とは言えない管理木材の規格制度でさえも、FPICおよび先住民族とのより強固なエンゲージメントを義務づけている。もっと強力な基準が存在するにもかかわらず適用可能な中で最も弱い基準を標準的に用いていることは、SBPが実際には先住民族の権利を守れていないことを浮き彫りにしている。

さらに、ステークホルダーが述べた意見が承認だと誤解されるリスクがあるため、一部の地域社会や非政府組織(NGO)はまったく参加しなくなり、SBPのステークホルダー・エンゲージメントの主張の信頼性はますます損なわれる。

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