最新トピックス

head-image

【連続コラム】輸入木質ペレットの持続可能性は認証で確認できるのか?~⑥SBPは「林地残材」を原則低リスクとみなしている

SBP認証取得済みのドラックス社ペレット工場に山積みされた丸太(カナダBC州) © Len Vanderstar
SBP認証取得済みのドラックス社ペレット工場に山積みされた丸太(カナダBC州) © Len Vanderstar

本コラムは、バイオマス燃料の認証制度を批判的に検証したレポート『持続可能なバイオマスプログラム:持続不可能なものを認証する』「1.4.2. SBPは「林地残材」と「二次原料」を無条件で認めている」からの転載です。

SBPは「林地残材(forest residues)」を原則として低リスクとみなし、原生林に由来する場合であっても認証している。この枠組みではまた、実効性のある管理体制がないまま生産者が丸太を残材や副産物として分類することを容認しており、そのような調達が環境にあたえる損害を覆い隠している。(『持続可能なバイオマスプログラム:持続不可能なものを認証する』「エグゼクティブ・サマリー」より)

【この記事の内容】

「林地残材」という抜け穴~原生林由来の丸太も「残材」や「二次原料に」

SBPは丸太をバイオマス燃料として使用することを認めている

SBPは「林地残材」を枝、樹頂部分、間伐材、風倒木、さらには役割を終えた人工林由来の木材などの低価値材と定義している。この幅広い定義は、他制度のより限定的な定義とは対照的である。例えば、英国の再生可能エネルギー義務(RO)ガイダンスでは、「林業残材」を伐採時に生じる廃棄物と定義し、加工後に生じるものは除外している[1]。

SBPの幅広い定義は、商業的価値は低いが生態学的に重要な丸太を「残材」として分類するおそれがある。

この定義上の抜け穴により、原生林や老齢林からの丸太を副産物として表示し、持続可能性認証や公的補助金の対象とすることが可能になっている。業界はおがくずやチップなどの副産物のみを使用していると主張しているが、調査や政策文書により、原生林から切り出された丸太がそのまま実際にペレット生産ラインに投入されていることが明らかになっている[2]。

政府データによると、BC州では原生林の皆伐後、樹頂部分、枝、切り株、枯死木、木質廃棄物を含むバイオマス総量の75%が現場に残される[3]。

しかし、こうした木質部位も恒常的に収穫され、「残材」として分類されている。英国政府はこのリスクに対応し、原生林由来の原料をバイオマス補助金の対象から除外する新たな規則を打ち出している[4]。

SBPは、製材残材などの「二次原料」についても、FSCやSFIといった有効なチェーン・オブ・カストディ(管理の連鎖:CoC)認証があれば自動的に適合とみなしている。こうした認証ラベルが付いていれば、それが持続可能な森林由来であることを保証するものではなくても、それ以上デュー・ディリジェンスは求められない。

その結果、原生林からの丸太であっても、最小限の加工を施せば残材や二次原料としてバイオマスサプライチェーンに流入し得る抜け穴を生み出している。この方針の下、SBPは認証バイオマスの40%を製材等残材として分類している[5]。

図6. SBPは丸太をバイオマス燃料として使用することを認めている

BC州では、ペレット工場が原料の大部分を「残材」と報告する事例があるが、その実態として、老齢林由来を含む丸太を調達し、最小限の加工を施して再分類していることが証拠で確認されている。

SBPが承認したBC州向けの地域リスク評価(RRA)では、FSCやSFI認証林からの原料を自動的に低リスクとして扱っている。これらの認証制度は、生態学的に影響を受けやすい地域での伐採を禁止していないにもかかわらず、である。

こうした投入原料を一括で事前承認することで、SBPは持続可能性の検証を省略し、自らの環境保護措置を形骸化させている(図6)。

[1]Ofgem. (2025). Renewables Obligation (RO) guidance: Sustainability criteria. https://www.ofgem.gov.uk/publications/renewables-obligation-sustainability-criteria
[2]Young, S. & Chestney, N. (2025, February 10). UK cuts subsidies for biomass power producer Drax. Reuters. https://www.reuters.com/sustainability/climate-energy/uk-cuts-subsidies-biomass-power-producer-drax-2025-02-10/
[3]Broadland, D. (2021, October 23). The economic costs of converting forests into sawdust and wood chips. The Evergreen Alliance. https://www.evergreenalliance.ca/portal-the-economic-costs-of-converting-forests-into-sawdust-and-wood-chips/1/
[4]Young, S. & Chestney, N. (2025, February 10). UK cuts subsidies for biomass power producer Drax. Reuters. https://www.reuters.com/sustainability/climate-energy/uk-cuts-subsidies-biomass-power-producer-drax-2025-02-10/
[5]SBP. (2025). Sustainable Biomass Program annual review 2024. https://sbp-cert.org/documents/annual-reviews/

【連続コラム】輸入木質ペレットの持続可能性は認証で確認できるのか?~①
【連続コラム】輸入木質ペレットの持続可能性は認証で確認できるのか?~②SBPはペレット工場や販売会社を認証する制度である
【連続コラム】輸入木質ペレットの持続可能性は認証で確認できるのか?~③SBPは最低限のリスク評価しか行われていないものを、「持続可能」としている
【連続コラム】輸入木質ペレットの持続可能性は認証で確認できるのか?~④欠陥のある炭素会計
【連続コラム】輸入木質ペレットの持続可能性は認証で確認できるのか?~⑤SBP認証を受けたペレット工場の炭素排出量評価の実態