本コラムは、バイオマス燃料の認証制度を批判的に検証したレポート『持続可能なバイオマスプログラム:持続不可能なものを認証する』「1.2.リスクベースの認証:抜け穴の多いアプローチ」からの転載です。
SBPは他の認証制度の信頼性を実態以上に見せかけている。森林管理協議会(FSC)の「管理木材(Controlled Wood)」やPEFC森林認証制度相互承認プログラム(以下、PEFC)の「管理材(Controlled Sources)」を、完全な認証原料であるかのように扱っているが、実際にこれらの区分では最低限のリスク評価しか行われていない。SBPはこの下位区分の木材を利用し、非認証林由来の木材が含まれていてもバイオマスのサプライチェーン全体を「持続可能」と表示し、結果として持続可能な森林管理(SFM)とみなされる基準を事実上引き下げている。(『持続可能なバイオマスプログラム:持続不可能なものを認証する』「エグゼクティブ・サマリー」より)
【この記事の内容】
最低限のリスク評価で“持続可能”と認証する
SBPはあらゆる供給源からの木材を受け入れ、「持続可能」と認証している
FSCやPEFCなどの認証制度は、森林管理に関する主な認証基準に加え、一般的に国または地域レベルで問題のある又は違法な供給源からの調達を評価・排除するための補完的な制度を運用している。FSCの管理木材およびPEFCの管理材(「問題のある出処の回避(Avoidance of Controversial Sources)」とも呼ばれる)は、SBPの枠組みを理解するうえで重要な、リスクに基づくアプローチである。
これらの制度は、最も問題のある林業慣行によって調達された木材を、認証済みサプライチェーンから排除するためのデュー・ディリジェンスの仕組みとして機能している。しかし、管理木材や管理材は最低限の基準に過ぎず、「持続可能な」または「責任ある」森林管理の認証と同等ではない。
FSCとPEFCはいずれも、完全認証材と、こうした制度で低リスクと評価された非認証材の混合を認めている。
例えば、「FSCミックス」と表示された製品には、FSC認証材に加え、森林転換、高い保護価値(HCV)の破壊、先住民族の権利侵害などを回避していると評価された非認証林由来の木材が含まれる。リスクが特定された場合、軽減措置は通常、脆弱な森林地域の即座の保護を求めるのではなく、林業従事者や政策立案者への啓発といったソフトな介入に限定される[1]。
これらのリスクベースの制度は、持続可能性を実証するよう設計されたものでは全くなく、最も有害な慣行を排除するための必要最小限のフィルターとして機能しているにすぎない。
しかしSBPは、この低位の枠組みを認証プロセスの一部として採用し、FSC管理木材とPEFC管理材を自らの「管理原料(Controlled Feedstock)」カテゴリーの対象として扱っている。実際には、しばしばFSCの国別リスク評価(NRA)に基づくリスク評価で低リスクと判定されるか、軽減措置が特定された場合、ペレット工場はFSC認証林でもPEFC認証林でもない広大な森林から調達することができる。
SBPはこうした最低限の介入を容認し、そのうえでバイオマスのサプライチェーン全体を「持続可能」と認証している(図2)。
図2. SBPはあらゆる供給源からの木材を受け入れ、「持続可能」と認証している
SBPは、リスクが管理者によって認識され、手続き上軽減されることを条件に、このように弱められた基準に依存している。これにより、SBP自身が依存している認証制度の完全性を根底から揺るがしている。リスク評価を受けただけの非認証材を完全認証材と同等に扱うことで、SBPは持続可能な森林管理(SFM)と認められる基準を引き下げている。
このモデルは、FSCやPEFCの規則では基準を満たさない原料にまで持続可能性のお墨付きを与えてしまう。付録Aでは、SBPがFSC認証を用いることの影響について詳しく分析している。
問題のある出処を回避していると評価されただけの原料を完全認証材と混合し、製品全体を持続可能と表示するSBPの慣行は、FSC・PEFC両制度の悪用とみなすことができる。
SBPがリスク情報アライアンス(RIA:持続可能性基準間でリスク情報を共有しベストプラクティスを推進するためのプラットフォーム) [2]への加盟を通じてFSCと提携していることを考えると、これは特に懸念される。SBPはFSCやPEFCの信頼性を支えるのではなく、その評判を利用しつつ、両制度の基準を弱めてしまっている。
これにより、SBPは事実上、自らが依拠する制度と直接競合する立場に身を置くことになる。というのも、FSCとPEFCはいずれもバイオマス燃料の認証も行っているからである。
[1]FSC. (2020). FSC-NRA-CA FSC National Risk Assessment for Canada Controlled Wood Risk Assessment (CW) V(2-1). https://connect.fsc.org/document-centre/documents/resource/344
[2]FSC. (2024, February 29). Global sustainability organizations form alliance to share risk information. https://fsc.org/en/newscentre/eudr/global-sustainability-organizations-form-alliance-to-share-risk-information
【連続コラム】輸入木質ペレットの持続可能性は認証で確認できるのか?~①
【連続コラム】輸入木質ペレットの持続可能性は認証で確認できるのか?~②SBPはペレット工場や販売会社を認証する制度である