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【連続コラム】”バイオマスに投じられる巨額の資金:森林ではなく補助金を削減すべき理由”~①

本連続コラムは、バイオエネルギーの問題に取り組む国際NGOネットワーク「バイオマス・アクション・ネットワーク」から出されたレポート “Burning Billions for Biomass-The case for cutting subsidies, not forests”(『バイオマスに投じられる巨額の資金:森林ではなく補助金を削減すべき理由』)から抜粋し、和訳・転載したものです。
 バイオマス発電の再エネとしての支援の適切性を考えるにあたって重要な論点や、補助金の削減・廃止に向けた政策変更が見られる燃料消費国の事例を紹介していきます。第1回は、「主な提言」と「エグゼクティブサマリー」を紹介します。

【この記事の内容】

●バイオマス発電に対する各国の巨額の補助金が、気候、森林、地域社会への悪影響を助長

●高コストなバイオマス発電への補助金は、資金の誤った配分である

●支援・補助金制度は、各国で反対運動に直面している

1. 主な提言(Key Recommendations)

バイオマス・アクション・ネットワークは、以下を求める:

  • バイオマスエネルギーに対する補助金を、サプライチェーン全体にわたって廃止すること。
  • 生物多様性条約およびそのすべての締約国が、バイオマスエネルギーへの補助金を、生物多様性にとって「最も有害な補助金」として、昆明・モントリオール世界生物多様性枠組みのターゲット18の下で特定し、2022~2030年の計画期間において、優先的に廃止対象とすること。
  • 国連気候変動枠組条約およびそのすべての締約国が、森林バイオマスエネルギーへの資金の流れ(補助金を含む)が低排出かつ気候にレジリエントな開発への道筋と整合しないこと、また、それゆえにこれらの資金の流れがパリ協定に反するものであることを認識すること。
  • すべての公的および民間の資金提供において、直ちにバイオマスエネルギーをグリーンファイナンスの基準から除外すること。

2. エグゼクティブサマリー(Executive Summary)

再生可能エネルギーへの補助金は、気候変動を引き起こす化石燃料から脱却するために不可欠な移行を進めるうえで、極めて重要な手段である。しかし残念なことに、世界全体で何十億ドルにも上るこれらの補助金の多くが、風力や太陽光といったよりクリーンな再生可能エネルギーと並んで、木材(ペレットやチップ)を燃やして電力や熱を生み出す用途に誤って振り向けられてきた。

その結果、森林破壊や森林劣化を引き起こし、地域社会を汚染し、さらに、代替するはずの化石燃料よりも多くの二酸化炭素を排出するバイオマス産業の拡大が支えられてきた。

バイオマスへの補助金はさまざまな形を取る。バイオマス発電、熱供給、あるいは熱電併給を行う事業者に直接支援を提供するものもあれば、電力会社や消費者に対してバイオマス電力の購入を義務付けるものもある。バイオマス発電は、給付金、助成金、税制優遇といった直接的な支援を通じて補助されることもあれば、炭素市場においてバイオマス由来の排出が無視され、事実上免除されるといった間接的な形で補助されることもある。

バイオマス発電や熱に補助金を振り向けることは、風力や太陽光といったよりクリーンな再生可能エネルギーや、エネルギー効率の向上といった分野――これらは、限られた資金のより良い使い道である――に対する支援を減らすことを意味する。この「機会費用」により、深刻な経済的影響が生じる。

なぜなら、バイオマス発電は依然として非常に高コストである一方、風力や太陽光のコストは技術革新によって着実に低下してきたからである。バイオマス発電所の多くは、補助金があっても経済的に成立せず、その費用負担は最終的に納税者が背負うことになる。

本報告書では、各国で提供されているバイオマスへの補助金に関する一連のケーススタディを提示する。これらの事例は、バイオマス発電や熱供給に補助金を与える政策が、しばしば強力かつ大きくなる一方の反対運動に直面しており、政策の不安定性が非常に高いことを示している。これは、投資家にとっても警戒すべき状況である。

補助金は、経済や環境に深刻な影響を及ぼし得る。それは、新しい産業や技術の発展を支えることもあれば、社会・環境的被害を引き起こす要因にもなり得る。バイオマスを支援する補助金は、温室効果ガスの排出削減という喫緊に必要な取り組みを損ない、地域社会を汚染し、森林や生物多様性を劣化させる産業の拡大を促進している。

そのため、70か国の200以上の団体から構成される連合体であるバイオマス・アクション・ネットワークは、バイオマスに対する補助金支援を廃止し、より有益な用途へと振り向けることを強く求める。

本報告書で提示されたケーススタディは、各国におけるバイオマス向け補助金の実態を明らかにするとともに、それらの補助金支援策や政策が時間とともにどのように変化してきたかについて興味深い分析を提供している。各地域にはバイオマス補助金の変遷に関する独自の「物語」があり、そこから得られる教訓を考察する。