【レポート】”Burning Billions for Biomass”が、各国のバイオマス政策の現状や支援の規模、課題を明らかに

「大規模バイオマスに関する国際アクションデー」である10月21日に、バイオマスエネルギーの問題に取り組むNGO・市民社会の国際ネットワーク「バイオマス・アクション・ネットワーク」から、レポート “Burning Billions for Biomass-The case for cutting subsidies, not forests”(バイオマスに投じられる巨額の資金:森林ではなく補助金を削減すべき理由)が発表されました。
プレスリリース(和訳)はこちら、報告書全文(英語のみ)はこちらでご覧いただけます。
本レポートは、
- 主なバイオマス燃料消費国と、アメリカやカナダ等の燃料生産国の政策の現状と課題
- オランダ、ポーランド、韓国等の政策変更の動向と今後の見通し
- 木質バイオマスが太陽光や風力と比較して、高コストで競争力が無く、助成金が市場を歪めていること
などを解説した上で、
- 生物多様性世界枠組や気候変動枠組条約・パリ協定等の規定に沿って、森林バイオマスへの補助金を廃止すること
- 公的・民間を問わず、森林バイオマスをグリーンファイナンスの対象から除外すること
- 森林を保全・再生する方が、はるかに有効な気候変動対策であること
等を提言しています。
日本の政策の現状・課題について執筆した、地球・人間環境フォーラムの鈴嶋克太は、レポート発表にあたって以下のようにコメントを出しています。
「政府や大規模バイオマス事業に関わる企業には、サプライチェーンを問題の少ない地域に移すことや、生産地域における「持続可能な」森林管理の証明を得ることで、この産業の負の影響は軽減可能とする考えがあります。しかし、これは誤った考えでしょう。なぜなら、本報告書が示すように、問題の根本原因は、世界中の国々でバイオマス産業に与えられる補助金によって助長されている、バイオマス産業の膨大な規模そのものにあるからです。」
バイオマス・アクション・ネットワークとは
バイオマス・アクション・ネットワークは森林問題に取り組む国際NGO Environmental Paper Networkの下にあるネットワークです。毎年10月21日を「大規模バイオマスに関する国際アクションデー」と定め、大規模なバイオマス・エネルギーの環境的・社会的影響を明らかし、政策の変更を求めることを目的に、世界各地のNGOや市民組織が協力してウェビナー、報告書の出版、抗議行動などを行っています。