バイオマス発電の課題に関する調査・研究や政策提言を行う一般財団法人 地球・人間環境フォーラムは、熱帯林保全や持続可能なバイオマス利用を目指す団体らと連名で、インドネシア・ゴロンタロ州において木質ペレットの生産や調達に関わる日本の事業者(阪和興業株式会社、東京ガス株式会社)宛てに、質問兼要請書を発出しました。
- 阪和興業株式会社:ゴロンタロ州のペレット工場(PT. Biomasa Jaya Abadi:BJA)に20%出資し、生産されたペレットを日本や韓国向けに販売している。
- 東京ガス株式会社:同社の100%出資子会社・プロミネットパワーの伏木万葉埠頭バイオマス発電所でインドネシア産ペレットを利用。現地メディアの報道では、BJAのペレットを調達している。
現在、主要な輸入燃料である「木質ペレット」の輸入元として急成長しているのがインドネシアです。2023~24年にかけて、日本の木質ペレット総輸入量に同国が占める割合は1%から5%にまで増加しました。
今年8月上旬、地球・人間環境フォーラムと熱帯林行動ネットワークはインドネシアNGO アウリガ・ヌサンタラの協力を得て[1]、同じくペレット消費国である韓国のNGO Solutions for Our Climate(SFOC)と共に、スラウェシ島ゴロンタロ州の視察[2]を行いました。
視察から、同州のペレット生産事業により、生物多様性豊かで絶滅危惧種・固有種の生息地と重複し、住民の生活を支えてきた熱帯林が伐採され、伐採後に早生樹の単一植林に転換されていることが分かりました。
本要請書は、両社に対して、ペレット生産による現地の熱帯林減少を止めるための行動を求めています。詳細は、要請書本文をご覧ください。
本件に関するお問い合わせ先
地球・人間環境フォーラム 担当:飯沼、鈴嶋(event[a]gef.or.jp)
[1]今年の5月に地球・人間環境フォーラムの招へいで、アウリガ・ヌサンタラ代表ティマー・マヌルンさんが来日し、セミナーを実施。来日中には、メディアブリーフィング、国会議員や経済産業省への政策提言、関連事業者・金融機関との対話を実施した。
昨年10月には同NGOらが、レポート『無視された警告:インドネシアと東南アジアの熱帯林を脅かす森林バイオマス』を発表している。
[2]ゴロンタロ州の視察を基にSFOCが制作したドキュメンタリー “Wood You Believe It?”はこちら(2025年10月公開)。
【メディア掲載】
●11/12 Mongabay “Kala Koalisi Minta Jepang Setop Impor Biomassa Indonesia“(NGO連合が日本企業にインドネシアからのバイオマス輸入停止を要請)※インドネシア語のみ
●10/30 環境金融研究機構「インドネシアの生物多様性「宝庫」の島の森林を皆伐・製造した木質ペレットを、阪和興業が東京ガス向けのバイオマス発電燃料として輸入。環境NGO等が両社に公開質問状送付」